ククルクゥのおまじないについて考えてみる

「ククルクゥのおまじない」を知っていますか?
恋愛系のおまじないをネットで探したことのある人なら一度は聞いたことがあるであろう、有名なおまじないです。

わたしがこのおまじないについて知ったのは、たしか2015年以前のこと。
おまじないをためす機会もないまま数年が経ち、最近ふと思い出して疑問に感じたのが「ククルクゥという言葉の意味はなんぞや」ということです。

そんなわけで、今回は「ククルクゥのおまじない」について考察してきます。

スポンサーリンク

結論からいうと

考察の結果、現在は「ククルクゥのおまじない」については以下の様に考えています。

  • 「ククルクゥ」は鳥の鳴き声
  • 手の形は笛などの楽器を模したもの

どうしてこの考えにいたったのか、順を追って説明します。

おまじないの方法

基本的な方法

  1. 両手の親指同士と小指同士はくっつけ、中の指三本は内側に折りたたむ(または指を組む)。
  2. 親指を口に付け(もしくは胸の前に手を持ってくるだけ)、会いたい人を思い浮かべながら「ククルクゥ」と3回念じる、またはささやく。
  3. 小指を口に付け、2と同じことをする。

補足

  • おまじないをした後に「会いたい」と念じた人に会えたら、願いは叶ったということになるらしい。
  • おまじないを行う姿は誰にも見られてはいけない。時間や回数についての制限はなし。
  • 特別な道具が必要なく、時間もかからない。シンプルなうえに、効果も好きな人に会える「だけ」という、ささやかなおまじない。

おまじないを強力なものにしたい場合はさらに別の工程が加わるようですが、今回はこの基本のおまじない方法のみに注目したいと思います。

補足の補足:おまじないの過程が増えている?

おまじないの実践方法を確認するためいくつかのサイトを巡ってみて、気がついたことがあります。

わたしがこのおまじないを知った当時には、3の「小指を口に付けククルクゥと念じる」という過程は無かったように記憶しています。

調べてみて気がついたのですが、「ククルクゥ」について紹介しているサイトやブログで、記事の最終更新が2015年以前のものは3の過程についての記述がほとんどありません。

小指を口に付けて言葉を唱えるというのは、どうも最近になって追加された工程のようです。誰が付け足したんでしょうね。

考察にあたって

何を知りたいのか

冒頭でも述べましたが、確認したかったのは「ククルクゥ」という言葉の意味です。
これは日本語なのか、外国語なのか、真言の類なのか。どういった意味の言葉なのかを推測していきます。

「ちちんぷいぷい」なら「智仁武勇は御代のお宝(ちじんぶゆうはごよのおたから)」という言葉が元ネタ、「血の道は 父と母の始めなり 血の道かえせ 血の道の神」という血止めのおまじないなら、古神道系が元ネタ、というように、「ククルクゥ」にも元の言葉があるのではと考えています。

蛇足「血の道」のおまじないは2000年代にweb上で知ったまじないですが、はやらなかったようでネットにはあまり情報がありません。
古神道系のまじないの一部分が元ネタ、と上で言っているのは、手元にある「図説 日本呪術全書」の303P「血の道と血の道と其の血の道と血の道復(かえ)し父母の道、ひふみ…(以下ひふみ祝詞が続く)」という一節を見ての個人的憶測です。

どうやって調べるのか

ククルクゥのおまじないの実践方法については多くのサイトが取り上げています。
しかし、おまじないの由来や意味について紹介、考察しているサイトは驚くほど少ない(ほぼ無い)です。

なので、おまじないの手法から連想できたことについて考察していきたいと思います。

ククルクゥと聞いて思い浮かんだこと

  • クトゥルフ
  • ククルカン
  • 鳥の鳴き声

クトゥルフとは

クトゥルフ(Cthulhu)はハワード・フィリップス・ラヴクラフトという20世紀初頭のアメリカ人作家の創り出した神話生物、そして神話体系そのものを指す言葉です。

ラヴクラフトの書いた小説を元に作られた神話体系で、クトゥルフ神話に登場するのは宇宙的恐怖を象徴とした神、あるいは宇宙生物です。

「Cthulhu」は人間には正確な発音は不可能とされており、クトゥルフ以外にもクトゥルー、クルウルウ、トゥールー、九頭竜など様々な呼び名があります。

ククルカンとは

ククルカン(Kukulcan,Kukulkan)はマヤ神話の創造神です。マヤ神話は、メソアメリカはユカタン半島などのマヤ地域(ざっくり言うとメキシコのあたり)で伝承された神話です。3~10世紀に栄えたマヤ文明の人々の世界観が反映された神話ですが、資料の消失などにより現存している神話は不完全なもののようです。

至高神と言われるククルカンは翼のある蛇の姿をしており、四元素である火・水・大地・空気を司ります。アステカ神話にも登場し、そちらではケツァルコアトルと呼ばれ、文化神・農耕神として崇められていました。

ククルクゥとの共通点

ククルクゥと聞いて思い浮かんだことの、三つのうち二つが神話世界の神でした。これはもしかしたら、わたしの脳みそに「神話に裏付けされているおまじないはよく効きそうだ」という思い込み、バイアスが存在しているかもしれません。

クトゥルフもククルカンも三文字目まではククルクゥと母音が同じです(〇u〇u〇u~)。なので似ていると感じたのでしょう。

この二つは無関係だろうと決めた理由

ククルクゥ、クトゥルフ、ククルカンはそれぞれ発音した時の音が似ていると言いました。

しかしそうは言ったものの、クトゥルフは恐怖を多く題材とするクトゥルフ神話の中でも、特に宇宙的恐怖の象徴として描かれている存在。間違っても恋のおまじないに登場していい存在ではありません。

そしてククルカンは文化神・農耕神・風の神として人々に敬愛されていた存在。平和の神ともされていたようですが、縁結びなどの恋愛に関する逸話は見当たりません。やはりククルクゥとは関係が無さそうです。

鳥の鳴き声について

ククルクゥのおまじないから連想したものとして三つ目にあげたのが「鳥の鳴き声」です。続けて言うと、より鳴き声らしく聞こえます。ククルクゥククルクゥ。

鳥の鳴き声、より具体的に言うと「ハトのような」鳴き声を思い浮かべます。もしかしてククルクゥというのは、外国語でなにかの鳥の鳴き声を表しているのではないでしょうか?

ククルクゥは外国語説

ククルクゥと言う言葉は外国語なのではないか。そう思った人はわたし以外にもいたようで、こちらのブログでは響きがククルクゥと同じ外国語を11言語挙げられています。

「好きな人に合える」ククルクゥの呪文
好きな人に合えるおまじないで有名な「ククルクゥ」やり方はとっても簡単1、両手の人差し指・中指・薬指を折り曲げる2、右手と左手を引き寄せ、親指同士と小指同士をくっつける3、口元へと持っていき、両親指を口

こちらの記事にはロシア語は取り上げられていなかったので、ためしにロシア語でククルクゥと同じ音の単語は無いか調べてみました。ありました。

”кукареку”意味はコケコッコー、つまり鶏の鳴き声です。

кукарекуは「кукареку 意味」なんかでググるとそのままGoogle先生が発音してくれるのですが、カタカナに直すと「クカリクー」という感じです。頑張ればククルクゥに聞こえる瞬間があるのかなあという程度です。同じ意味でкукуреку(ククリクー)のつづりもあるようですので、そちらの方がよりククルクゥに近そうではあります。

また、英語での鳥の鳴き声のオノマトペもクックドゥードゥーだったりクークーだったり、「ク」からはじまるものがあります。

英語のオノマトペ 動物や鳥などの鳴き声いろいろ - 英語豆知識ノート

ちなみにフランス語で鶏の鳴き声はココリコ(Cocorico)と言います。これもククルクゥと似ていると言えば似ていますね。

鳥の鳴き声がどうして恋のおまじないにつながるのか

「ククルクゥ」はなんらかの鳥の鳴き声なのではないか、という仮説を立ててみました。
ククルクゥが鳥の鳴き声だとしたら、両手で作るおまじないのしぐさは何を意味するのでしょうか?

再び連想:手のしぐさは何を意味するのか

ククルクゥのおまじないでは、手を電話のジェスチャーのようにし、両手を合わせたポーズを作ります。このしぐさは「楽器を吹いている」ジェスチャーなのではないかと考えました。

ククルクゥと口にする時に親指を口元にもっていくというのが、楽器を吹いているポーズを連想させます。

このあと小指も口に付けるらしいですが、このしぐさは最近になって追加されたようなので特に考察しなくても良いかなと思っています。(そう言ってしまうと親指を口元にもっていくという行為もあとづけで、はじめは手を胸の前に持ってくるだけのようですが。親指と小指以外の指をたたむ手のポーズは最初の頃から存在しているようです。)

指の折りたたんだ形と、伸ばされた親指と小指の形は、トランペットを吹いているジェスチャーに似ていると考えていました。しかし、「鳥の鳴き声」を唱えながら会いたい人を思い浮かべることで相手を鳥に見立て、その人を「楽器」で呼びよせるのだとしたら、その楽器は笛なのではないかと次第に思い始めました。

笛の持つ効果

たとえば、「ハーメルンの笛吹き男」。内容は知らなくても、名前は聞いたことがあるという人は多いんじゃないでしょうか。仕事の対価を払ってもらえなかった仕返しに、ハーメルンの町の子供たちをさらっていった男の話です。笛吹き男はネズミ駆除の仕事を引き受け、笛を吹いてネズミを呼びよせます。

そして、約束されていたはずの報酬がもらえなかったそのあとは、大人のいない間に笛を吹いて子供たちを連れ出し、姿を消してしまいます。

ハーメルンの笛吹き男は笛を吹いて動物や人を呼びよせました。ほかに動物を呼んだり操ったりする笛としては、犬笛や鳥笛がメジャーなようです。たとえばシーフォー(Sheepho)はシェパードホイッスルとも呼ばれ、牧草犬の調教や、猛禽類の呼び笛として用いられます。

体育の先生が首から下げていそうなあのホイッスルは、昔は呼子笛(よびこぶえ)と言いました。高い音で人を呼んだり指示の代わりにしたりします。

「笛」を辞書でひくと、おおむね次の意味で紹介されています。

  • 楽器
  • 合図のために吹き鳴らす道具、呼子

呼子(よびこ)で電子辞書を引くと「よぶこ」に飛ばされ、「よぶこ」から「呼子の笛(よぶこのふえ)」に飛ばされます。呼子の笛の意味は、「人を呼ぶ合図に吹き鳴らす小さい笛」(広辞苑第六版)。このことから分かるのは、そもそも笛には音を奏でる楽器としての意味以外に、「人を呼ぶ」という役割があるということです。

また、ホイッスルは現代では防災用具としても用いられます。地震などで建物に閉じ込められてしまった場合に、大声を出し続ける代わりにホイッスルがあると体力の消耗を抑えることができます。

まとめ

ここまでで二つのことについて、考察という名の憶測を展開してきました。

一つは、ククルクゥという言葉の意味について。もう一つは、おまじない中の手の形について。

考察の結果、冒頭で述べた考えにいたりました。

  • 「ククルクゥ」は鳥の鳴き声
  • 手の形は笛などの楽器を模したもの

この二点から導き出される結論として、わたしは次のように考えました。すなわち、
「ククルクゥのおまじない」とは、ククルクゥと鳥の鳴きまねをしながら相手を想うことでその人を鳥になぞらえ、笛を吹いて鳥を呼びよせるように意中の人を呼びよせようとするおまじないなのではないでしょうか。

おわりに

今回は「ククルクゥという言葉の意味はなんぞや」という疑問を解決するべく色々と考えてみました。「そう言われればそうかも……」程度の説明にはたどりついたので満足です。もっと納得のできる説明を思いつくか、他の方の説明を見つけたら、その時はまた紹介させていただきます。

蛇足

以下は本文中には入れられなかった考察です。

  • ククルクゥは外国語なのでは?と思った時、まずしたことが「ククルクゥ」をそれっぽいアルファベットにしてググるということでした。鳩時計(cuckoo clock)が関係あるかなとか思ってました。外国のおまじないサイトにいって、ククルクゥと同じおまじないが無いか調べもしました(無さそうだった)。分かったのは”Cuckoo Luckoo”というブランドのキャンディやチョコレートがあることと、”куку руку”というチョコレート菓子があるということでした。Cuckooもкукуもカッコウという意味なんですが、両者は同じ会社なのでしょうか?語学力が低いのでよく分かりませんでした(違いそうではあった)。なんでカッコウが商品名に使われるんだ?とか思いながらさらに調べてみたらフランス語で親しい人へのあいさつに”Coucou”というものがあるそうじゃないですか。Coucouはカッコウの鳴き声らしいですが、あいさつや呼びかけとしても使われるとか。だとしたら商品名にカッコウの鳴き声を使うのは、日本風に考えたら「お~いお茶」みたいなもんなんでしょうか。英語とロシア語でのカッコウの鳴き声に「人への呼びかけ」としての用法は見当たりませんでしたが……
  • 韓国語と中国語でも鳥の鳴き声でククルクゥに近いものがないかさらっと探しましたが、ありませんでした。辞書引いたわけではないので見つからなかっただけかもしれない。
  • 手のしぐさは楽器なんじゃないか、笛なんじゃないか、と考察しましたが、笛の種類としてはそのまま「指笛、手笛(ハンドフルート、ハンドオカリナ)」なんじゃないかと思っています。手笛で画像検索するとバレーボールのレシーブを受けるときのような形に両手を組んだ写真が多く見られます(アンダーハンドパス型というらしい)。自分の手どうしで握手をしているような形のものもあります(おにぎり型)。ククルクゥのおまじないを行うときの手の形に近いものがないかも探しました。Youtubeにありました。(How to owl whistle)1:30あたりからがその手笛の説明になっています。タイトルの通りフクロウ(owl)のような音が出ています。この手の組み方はお祈り型でしょうか。真似をしたらわたしでも音は出ました(音が出ただけで、とてもじゃないが鳥の鳴き声には聞こえなかった)。
  • 呼子について調べている時に知ったのですが、日本語には呼子鳥(よぶこどり)という言葉があるようです。呼子鳥は、鳴き声が人を呼ぶように聞こえる鳥のことを指し、和歌に詠まれる鳥のようです。辞書には「カッコウなどを指す」と書かれています。カッコウ以外にもウグイスやツツドリなど、別の鳥である説もあるようです。笛+鳥=人を呼ぶという図式は、ククルクゥのおまじないと同じものを感じます。
  • 記事を書きだした当初、「鳥の鳴き声説」と「手の形は楽器説」のほかに、三つ目の項目を用意していました。
    • ククルクゥは「鳥寄せ→とりよせ→取り寄せ」、と言葉が転化していった日本のおまじない

    そして以下のように展開させるつもりでした。

    「ククルクゥ」は鳥の鳴き声であり、鳥笛(の形にした手)を用いて意中の人を招き寄せる儀式。
    鳥の鳴き声+笛を吹くというのは「鳥寄せ(とりよせ)」の行為である。また、「取り寄せる」という言葉には「注文して持ってきてもらう」という意味のほかに「人を近くに来させる」という意味もある。
    ククルクゥのおまじないは「鳥寄せ→とりよせ→取り寄せ」と転化していった日本のおまじない、かっこよく言えば類感呪術にあたるのではないか。

    英語のおまじないサイトでもククルクゥのおまじないは見つからないし、日本のおまじないかなあと思っていました。ただ、わたしはおまじないに精通している人間でもなんでもないので、探し方が悪いだけで海外でもこのおまじないは存在するかもしれません(似たようなおまじないなら確実に存在するでしょう)。「日本のおまじない」と言い切ってしまっていいものかと迷いながら記事を書き進めていましたが、「笛」だけでも「人や動物を呼びよせる」効果の強いことがわかりました。「鳥寄せ→取り寄せ」説は無くてもククルクゥのおまじないは成り立つ、ということで、このおまじないが国産かどうかは不明です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク